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COLUMN02

社会貢献としての障がい者支援という選択

目次

まずは知ることだけでも社会貢献になる

明星学園では、重度の障がい者の方への支援という形で社会貢献活動を行っています。
しかし、実際にボランティアなどでも参加していただける方はごく僅かで、自発的に明星学園での支援をしたいと名乗り出てくれる方はとても限られているのが現状です。

他のボランティアに参加したことのある方からは「重度の障害者施設は知らないことが多く、なんとなく怖くて選びにくい」というイメージがあるとお話を伺ったことがあります。

当園では、ボランティアの方にはまず窓拭きなどの掃除を通じて利用者の方と交流を深めていただいています。もちろん、知らないから分からなくて不安と思われる方がほとんどですので、難しいことはお願いしていません。

まずは明星学園がどんな活動をしているのか知っていただき、実際に来てもらうことだけでも、社会問題を解決するための十分意味のある行動だと思っています。

障がい者施設での経験で得られること

中学校との交流会で毎回引率で参加してくださる先生に、どうして何度もいらしてくれるのかとお話を伺ったとき、「この場所に来ると普段よりも優しくなれるから」と答えていただいたのがとても印象的でした。

普段の学校生活ではスピード感が早く毎日を消費しているように感じるけれど、明星学園で彼らと向き合うときには、普段よりスピードを落とさないと付き合えないので、時間の流れがとてもゆっくりになるんだとおっしゃっていました。

明星学園で彼らと交流を深める上では、特別なことは必要ありません。

社会問題の直接の解決となっていなくても、普段よりも優しい気持ちで時間の流れをゆっくりと感じながら、目の前にいる彼らと自然体で向き合うことで、ここでしか得られない経験をしていただきたいと思っています。

社会貢献について少しでも興味のある方へのきっかけづくり

人と関わり合うことで笑顔にしたり、喜ばれたいという思いから福祉の業界を志す方は多いです。しかし、具体的にどう行動を起こせば良いのかがわからないと感じている方が少なくないことも事実です。

明星学園では、障害を持つ方と触れ合うきっかけづくりとして30年以上前から近隣の中学校との交流会以外にも、広報誌(プリズム)の制作・配布や、HPやブログ、Twitterを通じての情報発信、講演会への登壇、zoomを用いた外部交流としてなんでもおしゃべりカフェへの参加などの活動も随時行っています。

「不平等をなくす」ための社会を実現させるためには、支援が必要な重度の障がいを持つ方のことをまずは知っていただくことが必要不可欠です。

そのために、明星学園は考えるきっかけと土台作りとしての支援活動も行っています。

なんでもおしゃべりカフェについて

長野県知的障がい福祉協会として、「なんでもおしゃべりカフェ」という名前で知的障がい者の方への理解を深めるための場所をzoomで提供しています。

毎回話す内容に決まりがあるわけではなく、完全に自由参加で開放しているオンラインスペースです。

参加される方に条件は特にありません。漠然と社会貢献がしたいと考えている方や、少しでも話を聞いてみたいと思っていただいた方ならどなたでも参加可能です。

大学の講義では得られない生の現場で働く方からの声を直接聞くことで、それまで知らなかったことを知るきっかけになり、社会問題に対しての向き合い方を考える場となればと思っています。

活動を通して伝えたい思い

人権教育という側面で実施される講演会には、学園長の宮下が登壇し講演しています。

重度の知的障がいを持った方というと、やはりみなさん知らないから怖いというような反応をされます。

身体の障がいとなるとイメージはつきやすいけれど、知的障がいとなると想像が難しいという方が多く、まだまだ十分に伝え切れていないことが課題となっています。

様々な形で活動内容を発信し続けることで、明星学園としては「知らない」という状態から抜け出すためのきっかけを作っていきたいと考えています。

みなさんのそれぞれに魅力があり、素敵な一面を持っているものです。そういった彼らの持っている魅力を明星学園は伝え続けていきます。

これからの明星学園としての発信について

これまで障がい者支援を行う事業所にとって、自分たちの活動を発信する場所や機会はかなり限られたものでした。

自分たちの支援の形がどのような方法をとっていて、どのようなやり方でアプローチしているのかということや、自分たちの活動の魅力や素晴らしさについて、表立って発信することは多くありませんでした。伝えていくことの大切さをうまく理解していなかったために、全く知らない方へ向けてどんな風に伝えるべきなのかが分からなかったのです。

しかし、今まで通りただじっと待っているだけでは「不平等をなくす」ための活動としての我々の行動が世間に認知されることはなく、知らないことでの格差は広がり続け、社会問題の解決には至りません。

明星学園としては、きっかけづくりとしての情報発信を継続しながら、まだ多くの方が知らないことを伝え続けることで、みんなの幸せにつなげていきたいと考えています。